本会議で平成29年度一般会計予算に賛成の討論をしました。
平成29年3月31日定例会(第1回)
私はシブヤを笑顔にする会を代表いたしまして、議案第19号 平成29年度渋谷区一般会計予算に賛成の立場から討論いたします。
3月の月例経済報告で、政府は個人消費の判断を3カ月ぶりに上方修正しました。しかし、昨年10~12月期の法人企業統計において経常利益が前年比16.9%増、前期比5.2%増と好調だった企業収益や、完全失業率が前月比0.1ポイント改善し3.0%となり、有効求人倍率が1.43倍と高水準で推移している雇用情勢に比べると、GDPの六割を占める個人消費の改善ペースは力強さを欠いています。また、海外においては米欧の保護主義化への懸念、イギリスのEU離脱問題、北朝鮮のミサイル及び核開発の脅威など不確実性が増し、経済環境は様々な外的要因による下振れリスクを内包しております。
このような経済情勢の中にあって渋谷区の現状を顧みますと、人口は年少人口、生産年齢人口、老年人口の年齢3区分全てにおいて増加し、全国の高齢化率が26.7%と過去最高を記録する一方で、渋谷区の高齢化率は4年連続19%台前半をキープしています。
特別区税収入は469億9500万円となり、額にして5億3600万円、率にして1.2%の増収です。また、渋谷駅周辺は100年に一度と言われる大規模な再開発が進行し、50年ぶりに区役所新庁舎の建替えが進められています。3年半後には東京オリンピック・パラリンピックも開催されます。昨年は20年ぶりに渋谷区の基本構想が刷新されました。渋谷区にとって平成29年度は、まさに新時代への転換点となりそうです。
不確実な時代だからこそ、渋谷区はこれらのポテンシャルを生かして未来に投資することで、少子高齢化問題を初め先進国のどの自治体もいずれ必ず直面することになる宿命的な課題に対して、地方自治の一つの成功モデルを構築すべきと考えます。高度化、複雑化する時代のニーズを的確に捉え、世界に誇れる自治体として責務を果たしていくためには、喫緊課題へのスピードある対応はもちろんのこと、将来を見据えた行財政運営が求められます。
さて、平成29年度の一般会計予算案でありますが、歳入歳出予算額は926億5200万円と前年度当初予算に対して額にして81億円、率にして9.6%の増であります。これは当初予算としては区政史上最大の大型予算です。
重立った歳出では、待機児童対策に46億3000万円、前年比20億7800万円増、率にして81.4%増や、特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームを要する旧本町東小学校跡地複合施設整備、渋谷区高齢者ケアセンター建替え整備といった高齢者福祉施設の整備に37億9500万円など喫緊課題への対応を強化しつつ、新庁舎ICT基盤整備に4億6200万円、ICT教育の推進に7億8200万円、本区独自の英語教育、しぶやイングリッシュの展開に1億200万円、渋谷に集まる多様な人々の力を結集し、まちづくりを進める渋谷未来デザイン会議に6200万円、自転車走行空間整備、歩道のバリアフリー化、電線共同溝整備による無電柱化などの東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた道路整備に5300万円、観光Wi-Fiの環境整備に2600万円など、よりよい渋谷区を創造するための未来投資についても重点を置いていることを、まず評価したいと思います。
歳入に目を向けますと、先ほど申し上げましたように、大宗を占めます特別区税は469億9500万円となり、額にして5億3600万円、率にして1.2%の増収ですが、実はふるさと納税により控除された幻の区民税が14億6000万円に上り、渋谷区には歳入されません。また、前年度70%ダウンした特別区交付金はさらに15%の減となり、普通交付金は平成22年以来の不交付です。
そんな中で、基本構想の理念「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を力強く推し進めるために組んだ大型予算編成は、相当に苦心されたものと拝察いたします。特別区債の起債や基金の活用など、歳入確保メニューを増やしながら組み上げられた未来投資型予算を高く評価いたします。
以下、基本構想の新たな分野に沿って検証してまいります。
まず「それぞれの成長を、一生よろこべる街へ。」子育て・教育・生涯学習分野についてです。
待機児童対策として、区内保育施設においては平成24年度から平成28年度の5年間で1582人の定員拡大を実施してきましたが、さらに平成29年度は、施設整備計画を一年前倒しする形で809人の定員拡大を行う計画です。加えて居宅訪問型保育事業としてベビーシッター派遣を開始することになりました。かねてから、全て施設で賄うのではなくベビーシッターやチャイルドマインダーを活用してはと考えておりましたので、大いに期待しております。
また、我が会派が要望していた認可外保育施設利用者への保育料助成も実現し、認可外保育施設指導監督基準を満たしている旨の証明書が発行されている認可外保育施設利用者に対して、月額4万円を上限として保育料を助成することになりました。
引き続き待機児ゼロの実現に向けて様々な手法を複合的に活用しながら、さらなる定員拡大をお願いするとともに、昨今は保育所の運営問題も報道されておりますので、本年度から開始した検査指導担当職員による抜き打ち調査を来年度もしっかりと行っていただくことで、安全・安心かつ適切な保育環境を保っていただけるようお願いしたいと思います。
一方、子どもの個性を尊重しながらその発想力や応用力を伸ばしていくことは幼児期においても重要であり、平成28年度より実施しているシュタイナー教育やレッジョ・エミリアアプローチなどの特色ある幼児教育、保育の研究をさらに拡充しています。幼児期を子育てとしてだけではなく幼児教育として位置づけていただき、渋谷区幼児教育プログラムの改定を見据えた実りある視察を期待します。
学校教育においては、グローバル化・情報化社会が加速度的に進展する中、子どもたちが新しい時代の一員として活躍していくために、ICT教育を全面的に導入します。文部科学省の2020年代に向けた教育の情報化に関する懇談会などでの議論がなされているように、ICT教育の推進は国の方針でもあります。区内全ての小中学校に1人1台のタブレット端末、通信環境、電子黒板、デジタル教科書などを配備する計画で、ICT教育の導入が遅かった本区が一気に新しい教育の先頭に立てる事業と高く評価いたします。
しかし、ただタブレット端末を導入しただけでは、もはや新しい教育とは言えません。Wi-Fi環境のある教室内でアクティブラーニングを実施するのは今や当たり前の時代です。渋谷区の特徴は、LTE通信機能を備えたタブレット端末の導入により、いつでも、どこでも共同学習を可能にしたことです。
代々木山谷小学校の実証では、自宅や校外学習においても共同学習を可能にし、児童の学習意欲を向上させたことが大きな成果でした。児童が共同学習ソフトを使用した通信時間を計測したところ、自宅での使用時間が学校での使用時間とほぼ同じ長さになりました。家庭では、共同学習ソフト上のノートを児童が作成するだけでなく、友達が作成したノートを見ることができ、コメントを残すこともできます。児童は学校を離れても、時には自らを表現するツールとして、時には友人とのコミュニケーション媒体として、時にはアイデアを飛躍させる種としてICT機器を使うことを楽しんでいるようです。
2月8日に代々木山谷小学校で開催されたICT教育モデル校公開授業には、他の自治体の教員、行政職員、教育分野にかかわる民間事業者など157名の来訪者があり、注目の高さがうかがえます。1月28日には保護者、地域の方々を主な対象にICT機器を活用した学習への理解を深めてもらうための公開授業を実施したところ、200名以上の来訪者がありました。
授業を拝見してみますと、グループワークの成果を一斉にプロジェクターで投影することで各グループの意見の違いが鮮明になり、議論が進めやすくなります。また、挙手して発言する形式ですと一部の児童しか意見を発表できませんが、タブレット端末に書き込んだ全ての意見がスクリーンに映し出されることで、全員が達成感を持って楽しく授業に臨んでいます。わからないことはすぐにインターネットで検索して発表に反映させることができるのも、ICT教育の強みです。
私が区立小中学校の学校公開や行事等で現場を見て思うのは、児童・生徒の人間的な資質のよさです。もちろん私が拝見できている範囲は数校でしかありませんが、挨拶の励行、行事への主体的な参加など、とてもよい印象を持っています。しかし、人として立派に成長している子どもたちが、もし勉強面でコンプレックスを感じたらかわいそうじゃないですか。渋谷区立の小中学校の子どもたちには日本で一番進んだ教育を受けさせてあげたいと思いますし、私立が競って導入しているICT教育において、少しも劣らぬ環境で学習させてあげたいと考えております。
もしICT教育に拙速な導入という反対意見が出るようでしたら、それはICTの進化の速さを軽視し過ぎています。ウエブ系の民間企業は3カ月単位で新しいメディアを開発する世界です。2年も3年も検討していたら、実施するころにはその内容は既に時代遅れになっています。時には走りながら考えることも必要な分野です。逆に言えば、走りながら考えてもよいのがICTのメリットです。紙の印刷物は完成後の修正はできませんが、ホームページは後から修正できるのと同じです。
私は、会社員時代に就職情報会社で企業向けに人材採用コンサルを長くやりましたが、ICTに精通した人材は企業の高い採用ニーズがあります。ICTに加えて英語ができれば、どこでも生きていけると言っても過言ではないでしょう。教育委員会は自信を持ってICT教育を推進してほしいと思います。新しい取り組みですから最初は教職員の方々にも御負担があるかとは思いますが、時代の流れに沿うものであり、いずれ大きな成果があると確信しております。
英語教育においては、平成32年度から新学習指導要領が完全実施され、小学校3、4年生で週1時間の英語活動、5、6年生で週2時間の英語が教科として実施される予定です。そこで、平成30年度から小学校英語教育の前倒し実施を視野に、ALT派遣日数を倍増することによって子どもたちがネイティブの英語に触れる機会を倍増します。中学校英語教育のさらなる充実を含め、英語教育充実に向けた全体計画、しぶやイングリッシュマスタープランを策定します。グローバル社会を生きる子どもたちに必須となる能力を養成するものとして期待いたします。
また、特別支援教育においては、区内4校目の特別支援教室・巡回指導拠点校を中幡小学校に設置し、特別支援教育担当指導教員を配置します。特別な支援を必要とする児童が増加傾向にあり、より細やかに一人一人に適切な指導及び支援が可能になると評価いたします。
次に、「あらゆる人が、自分らしく生きられる街へ。」福祉分野についてです。
区内の障がい者施設、デザイン専門学校の学生、さらには企業、NPOが連携し、渋谷土産の開発、販売を行います。障がい者施設での作業内容や3Dプリンター、UVプリンターなどのデジタル工作機械の利用方法などを具体化し、製造体制や販売管理システムを構築します。区内の企業やNPOの協力を得て区内での販売拠点を確保する一方、超福祉展などのイベントでプロモーションを展開します。就労する障がい者の支援と渋谷の特産品開発を兼ねた意義ある試みです。
認知症予防、早期対応については、従来の高齢者見守り事業をさらに強化するSOSネットワーク事業を開始し、行方不明になった人を協力者とともに地域全体で探すことができる体制を整えます。認知症の人が行方不明になった場合、協力者へのメールを配信することで直接捜索することを目的としています。また、地域包括支援センターで認知症が疑われている人からの相談や支援を行う際、医師のアドバイスを必要とするケースが多くあることから、認知症相談協力医を配置します。
要介護者の増加への対応については、旧本町東小学校跡地に特別養護老人ホーム、認知症高齢者グループホームを擁する高齢者福祉施設が竣工します。特別区債の発行により調達した資金を充当します。さらに、老朽化のため大規模改修が必要な渋谷区高齢者ケアセンターを建て替え、特別養護老人ホームを中心とした高齢者福祉施設の整備に着手します。さらには恵比寿西2丁目複合施設にも認知症高齢者グループホームを整備する計画があり、積極的な取り組みを評価いたします。
次に、「思わず身体を動かしたくなる街へ。」健康・スポーツ分野についてです。
五十歳以上の偶数年齢者に対し、胃内視鏡検査を新たに導入します。胃内視鏡検査による死亡率減少効果が認められ、がん検診実施のための指針が改正されたことに伴うもので、より正確な検診ができるものと期待します。
東京オリンピック・パラリンピック2020大会まで3年余となり、誰もがスポーツを楽しめる環境を整備するため、区民アンケートを踏まえたスポーツ推進計画を策定します。スポーツをする機運醸成だけでなく、スポーツ関係団体等の参画意識の向上、民間等の連携・協力態勢整備等、総合的なスポーツ推進が図られるものと考えます。
また、区内競技種目である卓球、ハンドボール、パラ卓球、ウィルチェアラグビー、パラバドミントンを間近で観戦するオリンピック・パラリンピック競技リアル観戦事業も拡充します。競技の迫力や魅力、選手の躍動感を体感し、選手の最高峰のプレイを応援することで区内競技種目への興味、関心を高められます。
次に、「人のつながりと意識が未来を守る街へ。」防災・安全・環境・エネルギー分野です。
渋谷区内の犯罪発生件数は年々減少傾向にあるものの、不審者情報など寄せられていることから児童の安全確保は急務と考えます。区内小学校18校全校の通学路に各5台の防犯カメラを設置します。子どもたちの安全を確保するため、徹底した対応をお願いしたいと思います。これまでの録画による事後対応にとどまらず、現場で直ちに対応可能なライブ方式のカメラも将来的には期待したいと思います。
また、帰宅困難者を一時退避場所に誘導する新たな周知方法として、一時退避場所の方向を平時からサインにより来街者に示し、知ってもらうシブヤ・アロープロジェクトが計画されています。2020年に向けて増加が予想される外国人来街者にも親切な施策と考えます。平成25年渋谷区地域防災計画によれば、区内滞在者推計52万9282人のうち帰宅困難者は42%の22万2342人であり、職場や学校などの所属場所がないために発災時に屋外で滞留する人数は5万3509人と推計されています。こうした帰宅困難者を的確に誘導することによって区民が避難する避難所への流入が避けられ、混乱を防止するのに有効な手段になるものと考えます。
また、避難所では現在備蓄している避難所ボードにかえて、誰もが容易に設置でき、より高いプライバシーが確保できるワンタッチ式のパーティションを段階的に配備します。平成28年熊本地震の例を見ても、避難所生活が長期化すると精神的な疲労が蓄積するため、プライバシーへの配慮は必要と考えます。
我が会派が要望していたペット同行避難対策も継続されています。今後は畜犬登録の促進によって飼育実態を把握し、ペット疎開実施に向けた施策拡大も期待いたします。
また、木造住宅等が密集する本町地区の防災性を向上させるための各種整備が進みます。不燃性の高い住宅への建替え、道路の拡幅、公園、ポケットパーク等のオープンスペースの確保など都市基盤の整備のほか、大規模地震の際の火災原因は通電火災によるものが多いことから、新たに木造建築物に係る感震ブレーカー整備事業を実施し、機器が無償配布されます。昨年12月に発生した新潟県糸魚川大火災を見ても、火災発生時の延焼の怖さは明らかです。実態に合わせた施策と評価いたします。
次に、「愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街へ。」空間とコミュニティのデザイン分野です。
区民はもとより渋谷で働く人、学ぶ人、遊ぶ人などの技術力、アイデアを集め、社会的課題の解決を図る新しい取り組みが始まります。産官学民連携による組織体、渋谷未来デザイン会議の設立に向け準備室を設置します。
平成28年度に“かも”づくりフューチャーセッションで生み出されたアイデア、アクションの種を実現に向けて検証し、引き続き“かも”づくりフューチャーセッション、「渋谷をつなげる三十人」も開催します。審議会や協議会形式のまちづくりと違い、参加者が主体となって自走型のプロジェクトが期待でき、「YOU MAKE SHIBUYA(夢行く渋谷)」の理念に合致した事業として大きな可能性を感じます。ただし、夢はつかみ取るものですので、行かないでほしいと願っておりますが、行政でも企業でもなく、みんながつくる渋谷というコンセプトには大いに賛同いたします。
また、電車やバス路線網を補完する公共交通機関として、気軽に自転車を借りて返却することができるシステム、コミュニティサイクル事業を始めます。平成29年度は20ポート、200台の整備が予定され、将来的には50ポート、500台を当面の目標とします。近隣区の千代田区、中央区、港区、新宿区、江東区、文京区で既に実施されているシステムとの共用で、区外への移動、乗り捨てなども可能とします。東京2020オリンピック・パラリンピック大会までにはコミュニティサイクルがさらに拡大することを目標とするものですが、所有からシェアへという社会の動向に自転車のような交通手段も合わせる試みとして、時代を捉えた事業と判断いたします。
また、2020年に向けた道路整備として、4つの事業が進められます。歩行者、自転車、自動車がより安全・安心、快適に通行できるように自転車走行空間整備、来街者の歩行空間の確保とともに美しい街並み形成を目指す電線共同溝整備による無電柱化、歩道の段差解消、勾配の改善、視覚障がい者用誘導ブロックの改良を実施する歩道のバリアフリー化、競技会場周辺の暑熱対策を目的とし、遮熱性舗装の整備を実施する環境対策型舗装の整備ですが、いずれもオリンピック・パラリンピックのレガシーとして魅力的な道路空間をもたらすものと考えます。
次に、「あらたな文化を生みつづける街へ。」文化・エンタテイメント分野です。
渋谷区では渋谷駅周辺の広場、公園、道路、施設等を中心とした区内の各地で音楽、ファッション、アート作品、ダンス等の様々なジャンルのイベントが開催されています。「渋谷ズンチャカ!」「渋谷芸術祭」「渋谷ストリートダンスウィーク」は定番になりましたが、平成二十九年度からは「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」ジャズフェスティバルの殿堂「東京JAZZ」も渋谷で開催されることが決定しています。主催は実行委員会形式等、様々ですが、渋谷区が共催や後援など積極的にかかわっていくことで、地域社会の活性化につながります。今定例会の代表質問で我が会派の薬丸幹事長が提案した「文化・芸術三昧 秋の渋谷」を広く発信することで、さらにイベント相互の相乗効果があらわれるものと考えます。
次に、「ビジネスの冒険に満ちた街へ。」産業振興分野です。
渋谷駅、原宿駅周辺その他で観光Wi-Fiの環境を整備します。次年度以降も民間事業者の設置状況などを見ながら設置エリアを拡充していき、あわせて災害時の防災用ポータルへ切り替わる仕様など、有効な情報発信ツールとして利活用も図っています。海外からの来街者の場合、旅行中に困ったことの上位にWi-Fi環境が挙げられ、国際観光都市を目指す渋谷区にとっては遅過ぎるぐらいです。ただ、平成29年度はエリアが限定的なため、郊外への回遊性を促進するためにも次年度以降は大胆な展開を期待いたします。
区内で創業を目指す方向けに、創業時に大きなアドバンテージを受けられるシブヤビジネスコンサルティングの拡充が図られています。平成27年10月に産業競争力強化法に基づく認定を受けた「創業支援事業」ですが、大きなビジネスと小さなビジネスが理想的に協働する街を実現するために有用な事業と期待いたします。
最後に、計画の実現と持続可能な行財政運営についてです。
平成29年度は20年ぶりに策定した新たな基本構想のもとで迎える最初の新年度であると同時に、今後10年間の区政運営の基本方針である渋谷区長期基本計画2017-2026の初年度であり、今後3年間で進めるべき渋谷区実施計画2017の初年度です。
まず、基本構想が掲げる区のビジョン「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を区民を初め来街者へ発信するため、専用ウエブサイトを開設し、意見を集めるツールとしても活用します。さらに啓発のためのワークショップを実施し、参加者が主体的に考えることで渋谷区に対する愛着や誇りを醸成します。さらに、社会で活用が進むAIをいち早く基本構想アンバサダーに採用し、区民、来街者との新たなコミュニケーション方法を模索します。他の分野への応用も視野に入れた意欲的な試みと考えます。
行政サービスの推進に当たっては、様々な分野で強みを持つ区内企業の技術、ノウハウ、人的支援を区政に生かし、ともに発展していく公民連携の強化を高く評価いたします。
持続可能な行財政運営のためには、小さな財政負担で豊かな公共サービスを生み出す行政手法が重要です。例えば、企業、大学、NPO等と協働して地域社会の課題を解決していくための包括連携協定、「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定--S-SAP協定」を増やしていきます。あるいはネーミングライツでは、喫煙所のあったハチ公前広場に女性専用パウダールームを設置し、プロポーザル方式の公募により民間事業者が選定されました。設置費用、ランニングコストも含め4年6カ月で3億7000万円分を同社が負担し、さらに年間10万円を命名権料として区が歳入します。
平成28年度に、公共施設等の現況及び将来の利用需要の見通しを踏まえた上で渋谷区公共施設等総合管理計画を策定しましたが、平成29年度からは各公共施設等のより精緻な個別計画の策定に着手します。学校、区施設等、老朽化への対策に大きな支出は不可避です。一方で、民間事業者が一定のリスクを負担するかわりに公共施設の運営を事業提案できる民間提案方式、いわゆるプロポーザル方式の導入により、従来の行政機関の経験と発想ではできなかった事業が可能になり、財政負担も抑えることができます。民間事業者のノウハウをフルに活用し、すぐれたモデルケースを数々創出していただきたいと期待します。
以上述べましたように、平成29年度渋谷区一般会計予算は喫緊の課題にスピーディに対応しながら将来にわたる教育の発展、区民福祉の増進、文化の向上を図る未来投資型予算と言えます。長谷部区長の決意が込められた予算編成と受けとめ、高く評価するものであります。
結びになりますが、シブヤを笑顔にする会は、誰もが笑顔で暮らせる渋谷区を実現するために全力でその役割を果たしていくことを表明いたしまして、議案第19号 平成29年度渋谷区一般会計予算の賛成討論といたします。
ありがとうございました。